んoon 1st FULL ALBUM "FIRST LOVE"
2024.11.20(WED)
NEW RELEASE!
んoon
Vo. JC
Ba. Naoto Sekijima
Key. Kensaku Egashira
Harp. Yuko Uesu
Support Dr. & Perc:
Yoshinari Kishida(TRACK 03, 04, 05, 06, 07, 08, 09, 10, 11, 12)
Nanaco Shiozu, Beat Satoshi from skillkills(TRACK 02)
Recording:
Track 01, 02 and all main vocal rec: Yui Kimijima (Tsubame Studio)
Track 03-12: Tomoro Shimada (hmc Studio)
Mixing:
Track 01: Yui Kimijima (Tsubame Studio)
Track 02-12: Tomoro Shimada (hmc Studio)
Mastering:
Pete Maher
CD RELEASE/ Distributor:
FLAKE SOUNDS
Music Distributor:
FRIENDSHIP..https://friendship.mu/
先行配信MV Forest feat. ACE COOL
FIRST LOVE TOUR 2025
大阪・名古屋・東京で、リリースツアー「FIRST LOVE TOUR 2025」の開催が決定!
公演日
大阪 :2025/2/28(金) 梅田Shangri-La
名古屋:2025/3/1(土)新栄Shangri-La
東京:2025/3/16(日) 渋谷WWW X
開演時間:Open 18:00|Start 19:00
チケット代:¥3,500 (ドリンク代別)
先行発売:2024/11/20 (水) 19:00 〜
1次 2024年11/20 (水) 19:00 ~ 12/1 (日) 23:59
2次 2024年12/5 (木) 12:00 ~ 12/12 (木) 23:59
プレリザーブ先行
2024年12/13 (金) 12:00 ~ 12/15 (日) 23:59
CD
発売日2024年11月20日 (水) CD(FLAKES-289)
¥2,728(税抜)/¥3,000(税込)
Label / FLAKE SOUNDS (4571207712899)
FIRST LOVE
Self Liner Notes
FIRST LOVE
ba.積島直人
中学のころ、夏休みの前の全校集会の余興として、映画を上映するイベントがあった。それにともない上映希望の作品を募集するアンケートがとられた。
集計の結果、(私はL'Arc〜en〜Cielのメジャー2作目のアルバム『heavenly』のライブツアーを収めた『heavenly films』を上映希望と記入したにも関わらず、結局)上映されることになったのは『スタンド・バイ・ミー』だった。
私は、tetsu(現tetsuya)の流れるベースラインも、sakura(初代ドラマー)のドラムソロも出てこない昔のアメリカの田舎の風景を、埼玉の田舎の片隅の体育館で、ぼんやりと眺めることとなった。
この頃、夏といっても今ほど暑くなく、
うっすらと汗ばむ温度の体育館は、蝉の声と、真裏の線路(宇都宮線蓮田ー白岡間)をとおる電車の振動と、思春期を識別するコードとしての8×4とギャッツビーの香りが入り混じる空間だった。これが、後々の4D映画の走りだったことは間違いない(が、正解でもない。)
で、肝心の映画の中身といえば、ジョジョ作品の能力概念「スタンド」の名前の元ネタであること以外はさして興味と知識もなかったが、見始めるにつれどんどんとハマっていってしまい、映画が終わる頃には、あのウッドベースのイントロと共に夏祭りの帰り道のような、少しのむず痒い切なさすら感じていた。
さて時は流れに流れて、2024年8月。
際限なく暑くなっていくかのような夏の夏さの最中に、我々んoonはバンド初となるフルアルバムを作っていた。
前述の通り、『スタンド・バイ・ミー』を経た私といえば、その当時から早熟ながら(≒思春期特有の万能感から)
「人生には、のちに振り返るような輝かしい思い出がいくつかあり、それはこれからの人生でいくつか起こり、そしてそれをさらに後々に振り返るのだ」
ということを直感的に理解していた。
今、んoonは結成から数えると、作中の彼ら程度の年齢に達し、まさに先験的にスタンド・バイ・ミー(寝袋持って、線路歩いて、キャンプして、タバコ吸って死体探し)している。
いつか来る、「振り返る時」のための色々な思い出の只中にいる。
主人公のゴーディは、小説の才能があるにも関わらず、父親に理解されず、愛されないことを悲しんでいる。その時クリスは強い口調で、このように言うのだ。
「(小説を書くことを)簡単にやめるなんて言っちゃダメだ。子供はすぐに宝物を捨てるんだ。俺がお前を守ってやる。」※
(※注サブスク全盛の昨今見直そうと思ったら、吹替の訳が違うのか、字幕だったのかこの訳語のバージョンを探しきれなかったので、知ってる人いたらいつか教えてください。)
メンバーそれぞれ家族、親戚、友人、職場など色々と関係性がある中で、なんとなく不気味なものとして残るのは、んoonという共同体だ。
家族と呼ぶには気恥ずかしいが、友人と呼ぶには既に爛れすぎている。
んoonの制作の本質は闘争である。あーでもない担当と、こーでもない担当と、そうかしら担当と、どーでもいい担当が、それぞれ輪になり右手にナイフを持ち、右隣の奴の首筋につきつけ、動的平衡を保ちながらモッシュのようなポルカを踊る。刺せば刺される、生かされながら生かしている。それが、我々んoonの制作であり基底である。
思い出作りなど糞食らえと思う反面、そんな状態で音楽を作っていけば、否が応でも思い出は積み重なっていく。だから時々(結構しばしば)嫌にもなるし、まさに「宝物を簡単に捨て」そうになったことは、この数年でたくさんある。
それでも、クリスの言葉を思い出し、宝物を捨てなかったおかげで、んoonは「新たな宝物」に出会うこともできた。新しい友人、新しい曲、新しい言葉、新しい景色。そして、新しいアルバム。
あの中学の夏、私が希望したラルクのツアーフィルムが上映されていたら、出会えなかったもの達ばかりだ。
いつかこのアルバムも、そして我々自体すらも、作中のラストシーンのようにタイプライターを前に振り返られるだけのものになるのかもしれない。それでも、んoonはいつまでも争いながら笑いあいながら、何かを作り続けることをやめてはならない。と思う。
誰でも、そうなのではないのだろうか
各曲ライナー
01.To Dog
前作EP収録のGodotという曲があり、中々に入り組んだ曲なのだが、このボーカルラインを逆再生すると歌が面白いといいはじめた。メインリフを持ってきたウエスが。
なるほど確かに面白い。特にタモリが行うような架空の他言語的なゲルマンぽい響きがある。。などと話していたらその逆再生風歌唱をまんまJCは歌うことができた。湖に映る顔をみてその顔に恋するかのような再身体化をへてメインの構成は出来上がった。
メンバー(積島除く)内の認識としては
「んoon国の国歌でジェンガ大会で負けた方に歌う曲」
である。(私としては国家などの諸概念はふもうであり、ギリギリいうならばんoon星である派。)
またこの曲は、常々お世話になっているツバメスタジオの3Fに楽器を持ち込み、一発どりの形で録音を行なった。エフェクターを踏む音も夏の湿度過多の空気感も聴こえるような曲になった。録音中ゲリラ豪雨と遠雷が何度かあったが採用テイクは、あまり入っていない。いつか天候すら操れるような演奏を行いたい気もする。
02.Kaiya
メインで作ってきたJCが下記のようなコメントを送ってきた。テンションも含め以下原文ママで掲載する。
「あまりにもいろんなことが起きすぎて、
自分でコントロールできない現実と
いやでも向き合わなきゃいけないことが多い年に
静かな時間が欲しかったけどそんな想いもぶっとばしていきたいいかねば
と言う歌詞
んoon史上初18禁MV
作った方が込めた想いを全無視してくれて
ぶん殴られて
それでまた新しい発見があって
曲が好きになる不思議サイクルがいつも楽しい」
とのこと。
03.Age
「かわいいでしょ?」と連呼しながらウエスがイントロのデモを聴かせてきた。おそらくは80年代の都市伝説の口裂け女の「私きれい?」というセリフを真似ているのだと思う。
なので、メンバーは「かわいい」と答えるべきか、「かわいくない」と答えるべきか、「ポマード」と3回答えるべきかの判断を瞬時に求められた。
歌詞はJCによるもので、メンバーの多動や衝動性、アルコール性健忘などの普段の特性と振る舞いをそのまま歌っている。
上述の問いに関してどう答えたかは曲を聞いてみてほしい。
04.Forest feat. ACE COOL
JCはいつもあまねく音楽を聴くとき、勝手にコーラスを考えたり、どの声に合うかという目線でプレイリストをつくる。
valkneeを客演に迎えた「Lobby」に続き、「わたしがかんがえる最強コラボリスト」から、今回は広島は呉出身のラッパーACE COOLを迎えることとなった。予てより彼のフローと声、そしてリリックに恋していたドラムンベース万年中毒のJCと我々は、デモの時点で必然的にそして、夢遊病のように無意識に彼にオファーのメールを出していた。
結果、これである。
また、かねてより色々なラップのフローをベースで音写するという練習を重ねていた私(Ba.積島)は、かれの強大な言葉の波動に負けないように満を持してベースでの「ラップ」をトラックにぶちこんでいる。間違ってもベースソロではないのでご注意を。
05.Sunde
JCが、海外旅行をしている時に胃腸炎で寝込んでいる時にできた曲らしい。
(スンデは韓国語では「豚の血のソーセージ」、デンマーク語だと「健康(sundhed)」という意味らしい。)
「何をしていても音楽が生まれちゃう」といえば聞こえはいいけれど、そういう時は休んだ方がいい気もする。レコーディング3日目、昼にみんなでスタジオ近くの蕎麦屋にいった。この日も東京の気温は38℃という最高値を叩き出していたが、JCは胃腸炎の影響なのか、暑さのせいなのか、鍋焼きうどんという字面に取り憑かれてしまい、グツグツのうどんを頼んでいた。レンゲに玉子の黄身を乗せうどんを食べるスタイルだった。かつてテレビで兵藤ユキが紹介していた食べ方を真似ているんだろうとすぐに分かったが、味噌煮込みうどんと混同していると思う。
06.Conversation Piece pt.3
JC加入前にpt1とpt2があり、それぞれバラバラに分解して後の楽曲の要素へと変わっていったのだけど、改めて過去のシリーズを総括するような曲をまとめたいと思った。大体の映画の3部作では、時系列でいうとpt1で始まり、pt2が続編、pt3は1以前の過去というパターンに倣ったものとなった。当然ながらpt2まではいなかったボーカルの色彩がふんだんに盛り込まれ、それに呼応するような楽器隊と謎歌詞のコラージュという、んoonの得意な音像の曲になった。
「セキジマ歌詞の文字量がどう考えても譜割りあわない(喋りすぎと一緒)」by JC
近年3部作で終わりかと思ってた映画も結構続編が出てきているため、今後pt4以降がありえるのかは今のところ未定である。
07.Pillow feat. 凌元耕 Ernest Ling
Key江頭は、もってきたコードの進行や展開構造をもって作曲と呼ぶ節がある。
構造は事象において本質なのか?という議論はまさにかつての構造主義批判にも通じるテーマであるが、それを受けた我々から、自然に綺麗なメロディやリフが生まれてくるので、作曲といえば作曲なのだろうということにしている。
そんな構造の設計図からは、ACE COOLのコラボとは違った男声のメロディがなんとなく想起された。そうまるで、昨年2023年に音楽を通して知り合えた台湾のバンドI'mdifficult のvo.のアーネストの声のような、甘く優しく、そしてちょっと拗れていそうなやつが。
という流れで、彼を客演に迎えたものができた。
(アーネストに限らずI'mdifficultのメンバーは全員本当にいい奴らで、んoonはみんな彼らが大好き。)
入眠前のリラックスと、興奮する鼓動の揺り戻しのようなトラックに、英語日本語マンダリンの言葉が入り混じる。
結局、予てより我々が偏愛する、「構造が意図しない構造を構築するような予定不調和」が生まれた。
08.Gary
ホラーゲームの実況配信にハマっているらしいウエスが作ったビートに、これまたJC加入前の曲の全員ユニゾンの歯車みたいなリフとウエスのつくったビートを噛み合わせた曲。
デモの段階でウエスが、"All the pilots are rich!"と叫んでいる幻のバージョンがある。
のでいつかこっそり流出させてみたい。
最後はそのまま、映画ミッドサマーのラストのような炎舞い散るカタルシスで笑顔になる。ライブでは10分くらいやりつづけたい。
09.Touch
11曲目のNANAを制作している時に追加アレンジでウエスがもってきたが、雰囲気として、なんか別曲に育てようとなった曲。7拍の奇数拍子をマスキングするようなスローな流れの旋律で割り切れない脈動を繋いでいく。ちょうどNANAと双子のような関係からタイトルは決まった。
10.Sherry
歌詞中に、「半眼の日々」という言葉があり、JCがその半眼を再現しながら説明していた。自分から見たらほとんど目を瞑っていたように見えたが、彼女は自称視力が裸眼が3.8とかあるらしくそのくらい目を瞑らないと薄目の感覚がわからないのだろうなとおもった。
JCのデモでは琵琶の音を入れていたが、ウッドベースをエフェクターで2オクターブあげて二胡風の音にしている。
11.NANA
去年のある日、突然遊園地のコーヒーカップ楽しみ後のような眩暈が起こり、結果としてメニエール病と診断された。止まっているような、流されていくような、奇妙な身体感覚は、新たなグルーヴの考え方と音の捉え方のヒントになった。
上記のような状態に加え、哲学者の柳澤田実氏とのご縁があり、氏の"we-ness"(私たち性)という
概念にも触れることとなった。メニエールのあのえもいわれぬ感覚をバンドのアンサンブルでどうやってやれるか、あるいはそもそもんoonは何を聞いて誰に合わせて私たち性を構築しているのか。そのような思索の果てにできた曲。耳障りの良さと、難解で寄る辺ないリズムの構築は同時にできるのだなと思った。
12.Billion
最近世間を賑わせた大事件がモチーフのため、あまり詳らかには書けないので歌詞を読んでみてください。
ただ彼は誰よりも人間臭く魅力のある人でありそこにんoonは強く惹かれた。