んoon Remix EP “Hoajao”

 

んoonは、2019年10月2日(水)に自身初となるリミックスEP「Hoajao」(読み:ホアジャオ)をデジタルリリースした。今作はリミキサーとしてBrainfeederから最新作をリリースしたばかりで、Flying Lotus、Dj Shadow、Saul Williams、Diploなどと多数の作品を生み出してきた世界を代表する米ロサンゼルスの鬼才プロデューサー「Daedelus」、また、Punpeeやサニーデイサービスへの楽曲提供も行う「DJ MAYAKU」、テクノウルフ、幡ヶ谷ちっちゃいものクラブでも活躍し日本のGqomシーンを沸かす「KΣITO」、4台のMPCとスクラッチが濃厚なグルーヴを生み出す横浜の変態HIPHOPバンドmeatersで活躍する「u★sei」の4名が参加している。Remixに参加したDaedelusとDJ MAYAKU本人からの貴重なコメントも届いた。

 

Track List

01. Freeway (KΣITO Remix)

02. Freeway (u★sei Remix)

03. Custard (Daedelus Remix)

04. Lumen (DJ MAYAKU Remix)

Mastering: Pate Maher

 

Daedelus

Custard (Daedelus Remix)

Comment

Custard is a feeling. At first I thought that it was sweet, but really so much more on each listen. I decided to travel down this more and see where it wanted to go. So excited to have found rhythms and something cinematic, almost sinister. Custard is still a feeling, but hopefully I've added to its recipe.

Custardは感情だ。最初聴いた時は、甘い曲だと思っていたが、聴き込むたびにそれ以上のものがあった。私はさらに潜り、この曲がどこに行きたいかを探ることにした。リズムや、映画のような不気味な何かを見つけた時は、とても興奮した。Custardは未だ感情のままだが、私はそこにレシピを付けたせたのではないかと思う。

Profile

Under the name Daedelus, Alfred Darlington has produced electronic music for the past 20 years, releasing countless LPs, EPs, remixes, and additional productions on labels such as Ninja Tune, Brainfeeder and Anticon. He has collaborated with a variety of artists including DJ Shadow, Diplo, Kimbra, Saul Williams, Death Cab for Cutie, and Flying Lotus. As a performer he played over 1,000 shows on 6 continents, at venues ranging from underground clubs like Low End Theory to festival mainstages like Coachella.

Daedelusという名前で、Alfred Darlingtonは過去20年間電子音楽を制作しており、Ninja Tune、Brainfeeder、Anticonなどのレーベルで無数のLP、EP、リミックス、およびAdditional Productionをリリースしている。DJ Shadow、Diplo、Kimbra、Saul Williams、Death Cab for Cutie、Flying Lotusなどのさまざまなアーティストとコラボレーションを実現。パフォーマーとして、彼はLow End TheoryのようなアンダーグラウンドクラブからCoachellaのようなフェスティバルのメインステージに至るまで、6大陸で1,000以上のショーでプレイしている。

 

DJ MAYAKU

Lumen (DJ MAYAKU Remix)

Comment

1番大事な点として、まず原曲から遠かろう素材を集めました。それらをひん曲げて原曲にアジャストしていく中で発生するエラーを1番大事にしました。が、無理!となって普通に弾いたりしたところとのバランスが実のところ1番大事です。しかしそんなことよりも1番大事なことがあります。Lumenの原曲が超格好いいということです。

Profile

DJ/トラックメーカー。曲やDJを聴いて下さったお客さんには、いつもお土産を持たせたいという気概で臨んでいます。柏餅を配ったりとかそういったことではなく。近年ではPUNPEE / Happy Meal のトラック提供、サニーデイサービス / 完全な夜の作り方のリミックスなど。

KΣITO

Freeway (KΣITO Remix)

Profile

トラックメーカー、DJ東京在住。Juke/Footwork、Gqomなどをベースに楽曲を制作し、ライブではAKAIのパッドを用いてビートをリアルタイムに打ち込むスタイルで知られる。SHINKARON、Polish Juke、POLAARなど国内外のレーベルから音源をリリースしている。東京発のGqomパーティ、“TYO GQOM”を主催し、DJ MOROとGqom DJユニット“GQOMZILLA”を始動、テンテンコとのユニット“幡ヶ谷ちっちゃいものクラブ”や7人組テクノユニット“テクノウルフ”のメンバーとしても活動している。

http://keitosuzuki.com


u★sei

Freeway (u★sei Remix)

Profile

DJ Ken5&u★sei、Meatersとして活動中。トラックメイカーとしてはISOPやDAG FORCEを始めとして提供多数。サンプラー・バトル Gold Finger's Kitchen 2009 Beat Cross Battle部門優勝。同大会の2010 Track Making Battleトラックメイキングバトル部門準優勝。
Meaters twitter https://twitter.com/MEATERS_info
u★sei soundcloud https://soundcloud.com/u_sei

 

眼球(のような耳)譚

文・んoon Bass 積島直人

(注:本文で「我々」としているものはどれも大体積島個人のことでもあるので、他のメンバーがそう思っているかどうかは保証しかねます。というか思ってない。)

「ん」は「ふ」であり、"h"であり、象り(ハープ)である。(=道ではなく、真理ではなく、命でもない)
表音-表意-表象を右往左往し、「んおーん」とか「ぬーん」とか、どうにでも読めてしまう我々は、名前と同様に自分たちの音楽もどう読まれても一向に構わないし気にしない。「読まれること」に無関心な我々の目下の関心ごとは、「どう眼差されるか」である。んoonのレイテストナンバーである『GUM』のライナーで私は以下のように書いた。


「我々は我々の知らない我々を我々以外の眼差しから常に見たい欲求がある。」


これは詳らかに言ってしまえば精神分析家ラカンの「鏡像段階」のことで、自分たちが何者かを定義する気のない我々は殊更にその輪郭を他者の眼差しから(ある意味で無責任に)立像しようとしているというだけの話である。

  そして現時点で「我々以外の眼差し」とは、んoonのMVを手がける映像作家の谷口暁彦と、んoonのライブやポートレートをとる写真家/画家の宮下夏子のことである。彼、彼女らの「眼」を通した作品はんoonの聴覚中心主義的な感性にいつも揺さぶりをかけ、我々に新たな発想(というより受想と言ったほうが正しいかもしれない)をもたらしてくれる。

  谷口は高校の頃、自身のネタ帳に「倍率○○○○の双眼鏡で地球一周した自分の後頭部を見る」と走り書きをしていた。当時流行った「見えないものを見ようとして」覗き込む望遠鏡というメタファーより、はるかに現実主義的なその想像力に私は嫉妬しながら爆笑した。

  宮下は二十歳の頃、親と喧嘩し夜の公園でたたずんでいるところタヌキの親子を発見する。親との喧嘩でざわついた心を慰めようと、おもむろに「眼」を両手で覆いダルマさん転んだを行いはじめる。数分後、なんと子ダヌキは宮下の背中に乗った(らしい)。「眼」を覆えば動物の警戒心が霧散するということは、宮下の「眼」以外の肉体は、ほぼ岩や草木といった自然物ということである(あらない)。

こんなエピソードはさておき(※こういうエピソードにいちいち事実かどうかと裏をとろうとする輩には、「ノリメタンゲレ」と心中で唱えるようにするとささくれた気持ちがまろやかになる。)ここで強調したいのは、我々にとって谷口、宮下の「眼」は、我々がどう逆立ちしても持ちえないものということである。彼らの「眼」から生み出される作品は、無毒の猛毒というべきか、毒が「裏返ったァァ!」(烈海王)というべきか、とにかく半端な露悪趣味は到底太刀打ちできないのである。

などと、んoonにまつわる眼差しの話はさておいて…

今回我々初のリミックスEP『Hoajao』は、谷口、宮下の「眼球」のような「耳」を持つ人たちにんoonの「眼差される欲求」をぶつけて出来上がった作品である。「我々が見たことのない我々」ならぬ「我々が聞いたことのない我々」が聞きたかったのだ。

依頼したリミキサーは4名。全員んoonが心から尊敬し嫉妬する「耳」を持っている。

  デイデラスのメタフィジカリティ、DJ MAYAKUの汎エスノ志向、KΣITOの人力手動グラニュラーシンセシス、u★seiの映画的脱構築は、んoonの原曲のグルーヴの時制と、全く異なる世界線の時制を、交わることなく並存させていて、それがあり得た未来なのか、すでに出来なかった過去の分岐なのか、とにかく色々な思いが錯綜し、魂が動揺してしまう。これはリンゴではない、これはパイプではない、でもんoonではないのかはわからない。是非聞いてみてほしい。


 
 
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